2017年7月26日水曜日

迷う力

僕が言うまでもないことですけど,僕は臨床の場面では「迷う力」が必要だと思っています。

人を理解する上で,何かしらの結論を出すことができれば,すっきりします。だけど,人なんてわかりっこないです。どれだけわかったつもりになっていたとしても,絶対にわかっていないのです。だから,少なくとも臨床の場では,迷いながら,すっきりせず,なんだかもやもやしているほうが正解なのです。わからないからこそ,もやもやするからこそ,「その人のことを理解しよう」という姿勢が生まれるのだと思います。そのもやもやを,もやもやのまま"置いておく"力が臨床には必要です。

人を理解する上で,理論はとても有用なものです。しかし,理論には人を「わかった気にさせようとする」力があります。それは甘い誘惑です。「わかった気に」なったほうが楽だからです。しかし,「わかったような気になる」ことはとても危険です。もやもやをもやもやのままにしておくことに耐え続けることは,明らかにエネルギーを多く消費しますし,決して経済的ではありません。それは,「無駄を省く」発想とは相容れないものです。

現代が「無駄を省く」発想こそが尊ばれる時代だからこそ,一見エネルギーの無駄でしかない「迷う行為」が貴重なのです。せめて臨床家ぐらいは大いに迷いましょうというのが,僕の臨床家としての考えです。これは,「専門家ならなんでも知っている」というような,一般的にイメージされる専門性とは大きく相反するものかもしれません。しかし,そういう専門性だってあるのだというのが僕の主張です。

2017年6月15日木曜日

人のお役に立つということ

以前入手した論文が行方不明になってしまって,あちこち探しまわっていたときに,僕が学習塾の教師をやっていた時代(心理臨床の世界に入る前)に関わりのあったある生徒さんからいただいたお手紙が偶然出てきて,それを読み返していて,とても感慨深い気持ちになりました。

そこで感じたのは,僕の原点は臨床心理学ではなくて,「人のお役に立ちたい」という気持ちなんだということ。

「パーソン・センタード・セラピーをやりたい」とか「臨床心理士としての専門性」だとか,そういうのは本当にどうでもよくて,僕がやりたいことは理論を実現することではなく,目の前の人のお役に立つこと。

だから,いつも実践が先にあって,それを説明するために理論を当てはめる,というのがいつもの僕のやり方。うまく言葉にできないし,美しくもないし,不格好だけど,まあ対人援助職なんてみんなそんなもんだろう。

自分の原点を忘れるな。理論の信者になるな。目の前の人を見ろ。

大学の世界にいると美しい理論に目を奪われがちだけど,このような自分の原点を見失ってはいけないな,と痛感させられて,自分の中に電撃が走った,そんなお手紙でした。あの生徒さん,お元気かなあ。お元気だったらいいなあ。

もちろん自分にとって「人のお役に立つ」とはどういうことなのかという問いはすごく大切で,それをうまく人に説明できないといけないんですけどね。

2017年5月22日月曜日

そろそろ任天堂の話でも語ろうか

プロフィールにも書いているように,僕は任天堂のファンです。コンピューター好きの
半分はエレクトーン由来ですが,もう半分は任天堂由来です。一般人ですが,任天堂に関してはけっこうガチなほうのファンだと思います。fjとかで僕の名前を検索しちゃだめですよ()。あの頃は若かった……。
任天堂のゲーム機は発売日当日に予約なしで並んで買うという謎のこだわりがあって,Wii UもNintendo Switchも発売日に予約なしで買いました。
DS/Wii時代の任天堂の戦略は「ゲーム人口の拡大」で,それで大成功して,3DS/Wii Uもその戦略を引き継いだけど,特にWii Uはこけちゃいましたよね。でも,任天堂は伝統的に,過去の失敗を( 短期的にも長期的にも)ふまえて次の一手をしかける傾向にあります。ニンテンドーゲームキューブ-ゲームボーイアドバンスのコネクティビティあってのニンテンドーDSとか。スーパーマリオ64のカメラ問題あってのスーパーマリオギャラクシーとか。Nintendo Switchは,Wii UのもっさりUIや本体から離れると切断されてしまうゲームパッドとかのせいで叶えられなかった,「据え置き機なのに手軽に遊べる」環境を見事に実現できていて,任天堂の底力に感心しました。
任天堂の「ゲームに気軽に触れてもらう」戦略は,スマホゲームとか他社とのコラボにも現れていて,ファンとしてもありがたいです。ユニクロのスーパーマリオTシャツ買っちゃったよ……。むかしゲーム少年・少女だったサラリーマンとかが任天堂のゲームに戻ってきているようで,とても嬉しいです。
前社長の岩田さんのスマブラ・ルビサファ同世代仮説が活きてるんだろうなあ。岩田さんはおそらく当面の戦略を遺して亡くなられたと思うので,いまのNintendo Switchの成功を一番喜んでいるのは岩田さんだと思うんだ。いやもうほんとに……。任天堂のフォロワーとして,感慨深いです。合掌。
さてそろそろ記事を書くのをやめて,ハイラル王国に戻りたいと思います。

2017年4月22日土曜日

Intel Dual Band Wireless-AC 7260



自宅のBeeboxのRTL8821AEがUbuntu 16.04環境ではブチブチ切れてとてもストレスフルで,ドライバーを更新してみたもののあまり改善しないので,こいつに入れ替えました。とても快適に動作しています。

51pinをマスクしないとBluetoothがちゃんと動かないみたいな話もありますけど,当環境では不要でした。

こんなに快適に動くならさっさと買えばよかった……。

2017年4月3日月曜日

新年度がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

あっという間に新年度になってしまいました。昨年度はばたばたしていて,せめて3月はのんびりしようと思っていたら,まったくできず。ちょっといろいろ入りすぎましたねえ。原点に立ち返るために,スクールカウンセラーも始めますし,新年度は積極的に休んでいきたいです。
最近は家に帰ったらすぐハイラルに行ってしまうので,どうにも進捗だめですが,今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

2017年3月30日木曜日

PCAGIP法にパーソン・センタードな個人スーパービジョンを組み合わせた「リフレキシブPCAGIP」の開発

押江隆・藤田洋子・植木美紀・多田佳歩・鞠川由貴・溝口英登・森原梓・山本優子・渡邊弓子(2016)PCAGIP法にパーソン・センタードな個人スーパービジョンを組み合わせた「リフレキシブPCAGIP」の開発 山口大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要, 39, 109-118.(ダウンロード(PDF))
事例検討法であるPCAGIP法の新しいフレーバーです。大学院生さんと一緒に作りました。PCAGIP法のグループセッションに,1対1のパーソン・センタード・スーパービジョンを組み合わせているのがこの方法の特徴になります。
論文には書いてませんが,実は当事者研究サポート・グループ(PDF)のエッセンスが入っています。どちらもフォーカシングっぽいです。がちがちのフォーカシングは苦手だけど,フォーカシングっぽいことは好きなんですよね。
こちらはオープンアクセスですし,もしご興味がありましたらお読みください。

「体験過程流箱庭療法」開発の試み(2)──セラピストが箱庭作品を味わう方法の検討

押江隆・梅野智美(2016)「体験過程流箱庭療法」開発の試み(2)──セラピストが箱庭作品を味わう方法の検討 山口大学大学院教育学研究科附属臨床心理センター紀要, 7, 29-38.
EST-Th(Experiential Sandplay Therapy Therapist version)の論文です。まあやってることはほとんどセラピストフォーカシングなんですが。書いたのはずいぶん前ですが,出るのにずいぶん時間がかかっちゃいました。
成人など,クライアントが自分の作った箱庭について語れる場合はEST(PDF)を,子どもなど,語れない場合はこのEST-Thを使う,というのがパーソン・センタードな立場からの箱庭療法になるのかなあと思います。
とりあえずこれで技法は一通り完成したので,次のステップに進まないといけませんね。
それにしても,アートセラピーに興味を持つ日が来るとは思わなんだ。興味が出だしたのは山口に来てからで,たぶんYCAMの影響なんですよねえ。
オープンアクセスではない論文ですが,ご興味等おありでしたらお読みください。