2014年12月31日水曜日

2014年を振り返ってみる(3) 振り返りのまとめ

最後に,今年の振り返りのまとめ。

今年はいろんなことを考えましたし,いろんな仕事をしました。今年の抱負は「おもしろく生きる」だったのですが,仕事もプライベートもどちらもそこそこおもしろく生きられたように思います。今年後半は若干忙しすぎでしたけど。

この抱負を掲げたせいかどうかはよくわからないんだけど,最近気がついたのは,自分が怒りの感情を出せるようになってきていることです。「おもしろく生きる」ためには譲っちゃダメなことがいろいろあるんですな。怒りの感情をきちんと伝えたほうが,その場はしんどくても後々よいことがたくさんあるということが,いまさらながらわかってきました。といっても,まだまだ苦手なんですけどね。

私って,思った以上に頑固だったんだなというのがとても新鮮でした。自分はポリシーのない,ふにゃふにゃした人間であるような気がしていたのですが,そうでもなかったんですねえ。自分で自分にびっくりです。

さてさて,来年はどんな1年になるでしょうか。来年頭にはちょっとした大きな出来事があります。そんな中でも相変わらず,流されることなく,かといって流れに逆らうことなく流れるように自然に,かといって自分の手でしっかり舵を切りながら,生きていきたいと思います。

というわけで,今年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

2014年を振り返ってみる(2) 今年の業績

今年のまとめ第2弾。今年の業績を振り返ってみます。

著書

  1. 小杉考司・清水裕士(編著)M-plusとRによる構造方程式モデリング入門 北大路書房
    • 押江隆(2014)パス解析 pp.46-60.
  2. 田邊敏明・大石英史・沖林洋平・小野史典・押江隆(著)明日から教壇に立つ人のための教育心理・教育相談 北大路書房
    • 押江隆(2014)教育相談と臨床心理学 pp.135-154.
    • 押江隆(2014)教育相談と地域臨床 pp.155-167.
1.の統計の本を書けたのは,本当にありがたいことでした。いい勉強になりましたねー。2.は教科書ですけど,地域臨床の章が個人的にはお気に入りです。自分が地域でいろいろやってきたことを,教科書に載せられたわけですからね。って私だけの手柄ではないのですけども。

論文

  1. 押江隆(2014)コミュニティとともに生きていくということ 人間性心理学研究, 31(2), 151-152.
  2. 押江隆(2014)問題意識性とフォーカシング的態度,自己実現との関連の検討 心理臨床学研究, 32(4), 483-490.
1.は学会のシンポジウムの報告,2.は研究論文ですね。2.がacceptされたときは思わず声が出るほど嬉しかったです。研究してからずいぶん時間が経ってしまいました。来年頭にもう1本査読つきの論文が出ます。こちらも嬉しいですね。

院生時代の貯金を使い果たして,若干の方向喪失感があると以前書きましたが,少しずつ見えつつあります。まあ,これまでアウトプットばかりでしたし,しばらくは焦らずにインプットをしていきますかね。いまはひたすら本を読みたいです。

学会

口頭発表・ポスター発表

  1. 押江隆・大塚聡介(2014)「体験過程流箱庭療法」開発の試み 日本心理臨床学会第33回秋季大会(ポスター発表)
  2. 押江隆・足立芙美・三浦啓子・水戸部準(2014)コミュニティプレイセラピー 日本人間性心理学会第33回大会(口頭発表)

座長

  1. 高原晋一(2014)多職種の協働による学校支援の試み──「なごや子ども応援委員会」の概要と活動の見通し 日本人間性心理学会第33回大会(口頭発表)

シンポジウム・自主企画等

  1. 岡村心平(企画/話題提供)・前出経弥(企画/話題提供)・押江隆(指定討論)・押岡大覚(指定討論)(2014)「にほんごフォーカシング」から「にほんのフォーカシング」について考える 日本人間性心理学会第33回大会(自主企画)
日本人間性心理学会第33回大会がちょう忙しかったですね……。

座長を初めて務めさせていただいて,とても緊張しました。発表者より緊張していたかもしれません。座長の控室でお弁当をいただきましたけど,周りは偉い先生方ばかりで,畏れ多いと同時に,こうやって大人になっていくのだなあと思いました。

講演会・研修会等

  1. 「グループ臨床を学ぶ──パーソン・センタード・アプローチの立場から」講師(第24回やまぐちハートフォーラム2014 明日へのバトン~やるなら今でしょ!~分科会3(心理技法)(山口県精神保健福祉協会))2014年2月2日
  2. 「相談支援者を元気にする! 新しい事例検討法『PCAGIP法』入門」講師(平成25年度相談支援者技術研修)2014年2月22日
  3. 「支えあいのコミュニティを目指して──子どものフリースペースから学んだこと」講師(NPO法人おひさま生活塾)2014年3月8日
  4. 「グループ・アプローチと地域臨床」講師(ファシリテーション研究会)2014年3月16日
  5. 「2013年度グループ・ファシリテーション研修会」講師(山口少年友の会)2013年11月11日・12月2日・1月14日、2014年3月25日
  6. 「生活相談員研修会(テーマ:共感をめぐる冒険)」講師(山口県警察本部)2014年7月1日
  7. 「明日から教壇に立つ人のためのメンタルヘルス講座」スーパーバイザー(小野史典氏と共同,講師:加藤寛子・水戸部準・大濱知佳・大塚聡介・大津久美・上田佳苗・大山薫・堺屋悠紀)2014年7月25日
  8. 「ADR研究会」講師(山口市大殿地域交流センター)2014年10月25日
  9. つなげる”と“つながる”──子どものフリースペースをめぐって」講師(NPO法人おひさま生活塾)2014年11月22日
  10. 「ゆるやかにつながる社会──子どものフリースペースをめぐって」講師(2014年度関西大学大学院院生合同学術研究大会心理学研究科院生協議会主催講演会)2014年12月6日
今年だけで10本講演会だとか研修会をやってたんですな。自分でもびっくりです。そりゃ忙しいはずだわ……。でも,ありがたいことですねー。

8.の「ADR研究会」は挑戦したことのない司法臨床に関わるお仕事でしたし,9.や10.の講演会は自分の中にあった新しい考え方を言葉にするいい機会になりました。新しい分野に挑戦できるのは,とても刺激的ですね。

さてさて,今年もよく働きました。今年の抱負は「おもしろく生きる」だったわけですが,少なくとも仕事の面ではかなりおもしろくやれたのではないでしょうか。今年の後半が若干忙しすぎたような気もしますが。

2014年を振り返ってみる(1) 2014年ページビューランキング

大晦日ですね。つい最近「2013年を振り返る」記事を書いたような気がするのですが,月日が経つのは早いものです。

このブログを立ち上げて1年とちょっとが経過しました。三日坊主になると思いきや,結構な数の記事がたまってきましたし,今年のページビューランキングをまとめてみます。

5位. 明日から教壇に立つ人のためのメンタルヘルス講座

7月に実施したメンタルヘルス講座の記事ですね。明日から教壇に立つ人も,すでに立っている人も,特に立たない人も,いろいろな方に参加していただきました。この講座は学校教育実践研究という大学院の授業の一環で実施したんですけど,院生さんたちがいい仕事をしてくれて,反省点もあるもののなかなかよい講座になったのではないでしょうか。参加者の方からありがたいフィードバックもありました。

院生さんからこの講座を実施した経験が役に立ったという声があり,嬉しいことです。こういう声が聞こえるような授業をやっていきたいですね。

4位. 教えられることと,教えられないこと

この記事は書かないではいられなかったですね……。

社会学部→社会学研究科→心理学研究科と渡り歩いてきて,いま教育学部にいるわけですが,教育万能論みたいな声を時折耳にするのが私にとっては大きなカルチャーショックでした。

「『命を大切にする教育』をするな」ということが言いたいわけではないですよ。殺人事件の原因が教育だと言わんばかりの言説はどうなのよ,という話です。

3位. 「叱ってくれる人」を大切にしましょう

この記事に解説を加えるのは野暮なのでやめますけど,この仕事をしていて一番怖いのは「叱ってくれる人」が本当にいなくなっていくことだなーとよく感じます。

2位. 大学院は研究をするところです

「研究」という言葉で言い表そうとする意味って,人によってずいぶん違うようなのでなんとも言えないですけど,大学院に進学を希望される方には開拓者精神というか,自分たち一人ひとりがディベロッパーであることを自負していただきたいというのがこの記事で言いたかったことです。

ディベロッパーなんですから,なんでも教えてもらえるわけじゃないですよ。自分で切り拓いていなないとだめです。って完全に老害の発言ですな。まあ,老害であるのもひとつの仕事なんでしょう。私って,案外頑固なんですよねえ。最近知りましたけど。

1位. 松屋と,すき家と,それからたかし。みんなちがってみんないい。

なんでこれが1位やねん。全然関係ないですけど,金子みすゞ記念館はとてもいいところでしたね。オチがついたところでランキング終わり。

2014年12月25日木曜日

松屋と,すき家と,それからたかし。みんなちがってみんないい。

この記事は松屋 Advent Calendar 2014の25日目の記事です。昨日は松屋仮面V3ことおかのさんの「変わった松屋とか OpenStreetMatsuya とか」でした。

松屋との出会い

松屋とは何でしょうか。 おわたんさんWikipediaの記事を引用しながら「牛めし,カレー,定食を販売」する飲食店と述べています。catさんは「松屋は、"早い・安い・旨い"を兼ね備えたファストフード店としては申し分ない食事をとらせてくれる場所」と述べています。確かにそのとおりですし,何の異論もありません。

しかし,もっと大切なことがあります。それはその組織の理念であり,ミッションです。

たとえばMozilla「インターネット上のオープン性と革新、機会を促進すること」をミッションとして掲げ,FirefoxやThunderbird,最近ではFirefox OSといったソフトウェアを開発しています。Mozillaにとって重要なのは,このミッション達成に向けて活動することであり,Firefoxなどの開発はその手段に過ぎません。

松屋も同様です。牛めしの販売は手段に過ぎません。NPOと私企業の違いはあれど,その組織が何を目指しているかにこそ注目するべきなのです。

私が松屋の理念の一端に触れたのは,大学院生の頃,松屋関大前店でのことでした(松屋フーズのWebページより画像を引用しています)。


「身体がよろこぶ自然味を」。そして「Everyday牛めし」──。この言葉に触れて以来,「毎日牛めしが本当に実現可能なのか,試してみよう!」と考えるようになっていきました。初めてTwitterに「松屋なう」とツイートしたのが2010年3月のこと。
それは,博士課程の2年生を終えようとしていた頃のことでした。

あなたの食卓になりたい

その後半年以上が経過し,毎日のように松屋で牛めしを食べ続けた結果,2010年10月5日ついに #matsuyanow タグが誕生します。このタグが誕生するまでにも,いろんなことがありました。



こんなやりとりもありました。当時貧乏だった私にとって,250円(当時の価格)でお腹いっぱい食べられる松屋の牛めしは本当にありがたい存在だったのです。まさに松屋は私にとっての食卓でした。

その後,#matsuyanow タグはTwitter中を駆け巡り,いまではハッシュタグクラウドに載りTogetterにまとめられ,こうしてAdvent Calendarとして特集されるまでになりました。そう,ついに松屋は私にとっての食卓だけでなく,あなたの食卓になったのです。

松屋仮面の誕生

2010年12月,松屋に通いつめた私は,あるキャラクターを思いつきます。
これが松屋仮面の誕生の瞬間です。

ふと冷静になってこんなことをツイートしていますがもうあとのまつり。

松屋仮面というキャラクターはインターネット上を駆け巡り,多数のコラ画像が出現,ついには追随する方まで現れました。ちなみに松屋仮面の誕生日は2010年12月6日。もう4歳になります。どうでもいいですね。

松屋仮面のその後

そんな私もいまではフルタイムの仕事に就き,近くに松屋がない職場に身を置くことになり,松屋に行く回数は激減しました。いまでは吉野家にだってすき家にだってなか卯にだって行きます。というか,いま食べている昼食は,360円の職員弁当です。

でも,時々思い出すのです。松屋に通いつめていたあの時を。昼食に250円くらいしか出せなかったあの頃を。疲れきって牛めし以外に食べるものを思いつかなかった,なんとか楽しくやりながらも将来に対するうっすらとした不安におおわれ続けていたあの日々を。もしあの頃の自分に会えるのなら,「大丈夫だよ,やっていけるよ」と伝えてあげたいと思います。

松屋仮面最後のお願い

いい話で締めようとしたところでお願い。私が言うのもなんですが,私に追随している方に再度お伝えします。毎日松屋に行くのはやめてください。牛めしEverydayはとっても経済的ですが,とっても不健康的です。私は就職直後の健康診断の際,血液検査に引っかかりました。いくら松屋が素敵な食卓でも,身体を壊しては何の意味もありません。

適度な牛めし生活で,よき松屋ライフを!

2014年12月9日火曜日

Drawでかんたん! チラシ作り #liboadvent2014


この記事は LibreOffice Advent Calendar 2014 の8日目の記事です。

LibreOfficeはワープロ,表計算,プレゼンテーションなどの様々なソフトウェアを含んでいますが,案外知られていないのが図形描画,すなわちDrawだと思います。私は地域でさまざまな活動をしている関係で,数多くのチラシを作成してきましたが,Drawはチラシ作りに使える,とても強力なソフトウェアです。この記事ではDrawの便利なポイントをいくつか挙げていきたいと思います。

Drawはここがスゴい!(1) 狙った位置に画像が入る!

チラシ作りには多くの方がマイクロソフトのWordを使っていると思います。Wordでチラシづくりをすると,画像が狙った位置に入らないなどの苦労が絶えません。それもそのはず,Wordはワープロソフトであり,文書を作成するための道具であって,チラシを作るためのツールではないのです。

Drawは名前通りドロー系のソフトですから,好きなところに画像を貼ることができます。方法は,エクスプローラーなどのファイラーから画像ファイルを任意の場所にドラッグ・アンド・ドロップするだけです。マウスでの画像の移動も簡単です。

Wordでのチラシ作りで苦労している方は,ぜひ一度LibreOffice Drawを試してみてください!

Drawはここがスゴい!(2) 印刷結果が画面と同じ!

私が以前会社に勤めていた頃,会社の先輩はExcelで見事にチラシを作っており,そのデータはあらゆる支社で引っ張りだこでした。ExcelではWYSIWYG(What You See Is What You Get)な結果が得られず,画面上の表示と印刷結果がずれる,なんてこともよくありましたが,画面表示と印刷結果とのズレをあらかじめ予測して画像や文字列を配置するなど,もはや職人芸の域に達していました。いわゆるネ申Excelというやつですね。

そもそも,Excelは表計算ソフトなのです。計算をするソフトでチラシを作っている時点でおかしいのです。職人芸を発揮しなくても,Drawでは画面で表示されているものが素直に印刷されます。

Excelでのチラシ作りで職人芸を発揮している方は,ぜひ一度LibreOffice Drawでその技を活かしてみてください。印刷プレビューを確認しなくて済む分,はるかに効率的に作業ができますよ!

Drawはここがスゴい!(3) 操作が簡単! サイドバー!

「Drawって使ったことないし操作が難しいんじゃない?」って思ってるそこのあなた。WordやPowerPointを使ったことがあるなら,すぐに使いこなせるようになりますよ!

チラシ作りで多用するのは画像や文字列などのオブジェクトを重ねる作業でしょうか。ここでちょっとした小技を紹介。画像を選択した状態でキーボードの[Ctrl]+[+]を押すと前面に,[Ctrl]+[-]を押すと背面に動かすことができますよ。

選択状態で[Ctrl]+[-]を押すと……

連絡先が後ろに移動した! 前面に動かすには[Ctrl]+[+]
また,Drawにはサイドバーがあります。たとえばオブジェクトを透過させて背景を表示させるのは私が多用するテクニックですが,右のサイドバーからとても手軽に設定することができます。[範囲]-[塗りつぶし]の[透過性]を[同じ色調]などにします。

オブジェクトを選択した状態でのサイドバー。[透過性]が設定できる
冒頭のチラシ,一部のオブジェクトの[透過性]を[なし]にしてみました。このあたりは好みの問題ですね
最後に,私がDrawで作成してきたチラシをいくつかご紹介して,終わりにしたいと思います。この記事を読んで,少しでも興味を持ったら,ぜひLibreOffice Drawを使ってみてください!

HOTちゃぶのチラシ。イラストは後輩や学生さんの力作です(コーヒーカップ以外)
かすたネットのチラシ。太陽・月・星はDrawの「記号シェイプ」等で作っています
かすたネットのきょうだい分,ほたるネットのチラシ。象さんは友人の力作だぞう
背景の写真は私の母が撮影したものです。講演会もよろしくお願いします(宣伝)

2014年12月4日木曜日

問題意識性とフォーカシング的態度,自己実現との関連の検討

"押江隆(2014): 問題意識性とフォーカシング的態度,自己実現との関連の検討, 心理臨床学研究, 32(4), 483-490."

このネタで学会発表したのが2009年ですから,論文が出るまで5年くらいかかっちゃいましたね……。つい先日,もう1本別の論文もacceptされて(めでたい!),院生時代の貯金がついに尽きてしまいました。さーて,次はどこにいきますかねー? 若干の方向喪失感はあるものの,ゆっくり考えてみたいと思います。

あ,これがSPSSを使った最後の研究になると思います。もうRで十分ですしねえ。